【心理学】 類型論と特性論について
今回は、心理学の類型論と特性論について簡単に解説していきたいと思います。
1.類型論と特性論ってなに?
まずはじめに、類型論と特性論はどんな時に使われるのかについて説明していきたいと思います。
1.1 類型論と特性論はパーソナリティの捉え方!
類型論と特性論は、簡単に言うとパーソナリティの捉え方といえます。
詳しく説明すると、人には個人差があるので、当然色んな性格の人がいます。
その性格をどんなふうに分けるかという考え方に、類型論と特性論というものがあるというわけです。
1.2 パーソナリティって何のこと?
パーソナリティと聞いて、「個人とか自分自身のこと?」「個性みたいなもの?」と思うはずです。
あながち間違いじゃありませんが、心理学の領域では、「人格」という訳が定着しています。
また、パーソナリティは、外界のさまざまな刺激(環境など)によって変化します。
1.3 パーソナリティについて
ここでは、パーソナリティについて詳しく説明したいと思います。
パーソナリティは英語で「personality」と書きます。ラテン語の「ペルソナ」(persona)を語源として、「個性、人格、人柄、性格」などと訳されます。
また1.2で述べたように、心理学に領域では、パーソナリティは「人格」という訳が定着しています。
似た用語に「性格」(英語でcharacter)がありますが、性格は生まれながらに持っているものであり、安定し、変化しにくいです。
しかし、「パーソナリティ」は、環境などによって変化する、つまり後天的に身につけられるものであり、性格とは区別されます。
★Point★
・心理学領域では、「人格」という訳が定着している。
2.類型論
次に、パーソナリティをどう分けるかという考え方である類型論と特性論のうち、類型論について説明していきたいと思います。
類型論も特性論もそうですが、1つではなく様々な種類があります。
今回は有名なクレッチマーの類型論と、ユングの類型論(タイプ論)について説明したいと思います。
2.1 類型論ってなに?
類型論とは、個人間の違いを質的なもの(例:内向的な性格、社交的な人など)と捉えて、何かを基準にカテゴリ(タイプ)分けしてパーソナリティを把握する考え方のことです。
2.2 クレッチマーの類型論
ドイツの精神医学者であるクレッチマーは、精神病と体型によって人を分類できるとしました。
クレッチマーは、
- 肥満型
- 細長型
- 闘士型
という3つに分け、
が多くみられることから、体型と性格について一定の特徴があることを見出しました。
そしてクレッチマーは、この特徴は病気を患っていない健常者にも適用できるものと考えました。そこで、
という類型を加えました(表1)。
表1 クレッチマーによる体型と気質 | ||
---|---|---|
体型 | 気質 | 精神病 |
肥満型 | 躁うつ気質 | 双極性障害の64.6% |
細長型 | 分裂気質 | 統合失調症の50.3% |
闘士型 | 粘着気質 | てんかんの28.9% |
2.3 ユングの類型論(タイプ論)
スイスの精神医学者・分析心理学者のユングは、人は、心的エネルギー(心の方向性、関心の向き)が外に多く向かっている外向性の人と、内に多く向かっている内向性の人がいることを見出しました。
また、心的エネルギーの機能を
- 合理的判断機能
- 非合理的判断機能
の2つに分けました。
合理的判断機能には、「思考」「感情」(好き・嫌い、快・不快という合理的判断を下す)があるとし、
非合理的判断機能には、「感覚」「直観」(合理的ではないことをそのまま感じ取る)があるとしました。
そして、この
- 思考
- 感情
- 感覚
- 直観
の機能のそれぞれに、外向性と内向性があるとしました(合計8つの類型)。
つまり、この4つの機能は、2類型(内向性・外向性)の下位分類というわけです。
★Point★
を把握しようとする考え方である。
3.特性論
3.1 特性論ってなに?
特性論とは、個人間の違いは、性格特性(例:明るさ、優しさなど)の量の違いであるという考え方のことをいいます。
3.2 アイゼンクの特性論
アイゼンクは因子分析で性格特性を分析しました。
- 向性(外向ー内向)
- 神経症傾向(情緒安定ー不安定)
の2因子に分け、その下位にいろんな特性を配置していきました。
また、この2因子(向性・神経症傾向)を使って、モーズレイ性格検査(MPI)を作成しました。
3.3 ゴールドバーグの特性論(ビッグファイブ論)
ゴールドバーグは、性格特性は5つの大因子にまとめられることを見出し、その5大因子にいくつかの下位特性があるとしました。
これを、ビッグファイブ論といいます。
★Point★
以上になります!